□+漢字(西尾士族工場)

揖斐川橋梁の井筒の煉瓦には縦横2分ほどの小さな漢字を四角で囲った添印が添えられているものがある。具体的には「圡(点つき土)」「平」「青」「萩」を検出した。また天竜川橋梁橋脚近傍の瓦礫からも”ビー”+”□青”を採取しているほか、一連の鉄道工事の余剰分を寄せ集めて建設されたとみられる石ヶ瀬川橋梁(M24.6.改築)橋脚残骸とみられる扇形異形煉瓦には形状指示印「シー」を打刻した「斗」を検出している。
。これらの橋梁の建設時期と西尾士族工場の納入時期が一致することから同工場で使用されていた識別印と推定したい。

非常に興味深いことに、上記”□+漢字”の添印は敦賀港駅ランプ小屋に見られるものと全く同じものがある。例えば”□+圡”などは完全に一致するし、「青」「平」なども揖斐川橋梁に見られるものによく似ている。敦賀港駅ランプ小屋の刻印種類と揖斐川橋梁で検出したものとを合わせると約20種の印があることになるが、『西尾市史』所収書面に、西尾士族生産所立ち上げ直後には鉄道局御用品の製造能力のある者が17、8人いたことが記されてあり、その人数と略一致する。彼等のうちで使われた識別印であったのではないかと想像される。

それを確証するために同工場の職工名簿(西尾市教育委員会蔵、作成年不明)を当たり、既知の”□+漢字”刻印の漢字に該当する名前があるかどうか確認したところ、約6割の一致をみた。さらに東洋組設立にさきがけて結成された愛知県士族談話会会員名簿で旧西尾藩からの参加者名を確認すれば「□角」以外は相当する名前を見い出せる。

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