点印

姫路市山野井町男山の姫路文学館周辺の壁で見られる刻印。■や●で数個の点を打つ。個数で作業者を区別したものと想像される。

同じ4点打刻でも、■点を十字に並べたもの、●点をサイコロの目状に並べたものがある。■点の場合は縦横3cmほど、●点は1.5cmほど。■点は3点・4点が存在した(前者は壁の撤去に伴い亡失)。●点は6点と4点を確認した(4点刻印を重ね打ちした可能性もある)。

点の数によるバリエーションをもつ刻印は・・・/・・/・があるが、これは点ひとつの大きさが5,6mmある比較的大きな●である。男山で見られるものは2mm前後の小さな●。

この壁は現在望景亭として知られる濱本八治郎の別邸を囲んでいたもので、同建物は大正5年から建設が始められたとされる。他方、この時期山野井村には濱本が経営する煉瓦製造所があった(T2.8.姫路煉瓦(株)→T3.8. 四ツ菱(株)→T5 山陽実業(株)→T6.3. 山陽窯業(株)姫路工場。いずれも統計書「工場」欄より)。同壁には山陽窯業製品と見られるゴシック”山”意匠”山”刻印煉瓦も見られ、濱本の工場で製造された煉瓦が使われているのは間違いない。点印はあるいは山陽窯業以前の工場が使用していた識別印的刻印であるかも知れない。

男山周辺の煉瓦壁の状況。茶色は腰壁より上を撤去(2021年10月時点)。

① 2016年撮影 内部に通じる扉があったが、この面も腰壁より上が撤去されている。

② 2016年撮影。姫路文学館建物裏の区間はこの時からすでに上部をカットされていた。

③2021年撮影 腰壁より上が撤去されている。

④2021年撮影 通路のある段から麓に向かって降っていく区間は現存。この区間のうち上部の数スパンでは点印が確認できる。下部ではゴシック”山”が使われる。両者の境は連続的でなく、笠部の構造も異なるので、建設時期が異なるものと想像される。意匠”山”が見られる壁の作りは男山山頂から降ってくる壁と同じで、その壁にも意匠”山”、ゴシック”山”がみられる。(2021年時点では山頂からの壁の状況は確認し忘れた)

点印が使用されていたと見られるスパンの煉瓦は成形不良品が目立つ。このことも近傍工場の製品とみる根拠の一つ。

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