□+カナ(市古工場識別印)

木曽川橋梁の残存井筒に見られる”市古検印”刻印煉瓦のひとつには形状指示印”シー”が添えられている。この”シー”は同井筒で検出される”□+子”+”シー”の”シー“と同じもので、すなわち”□+カナ”(やや縦長の四角でカナを囲む)が同工場の識別印であったことになる。

木曽川橋梁井筒の他には鷲津~新所原間の茶屋松暗渠梶田避溢橋でも”□+カナ“印を検出した。特に梶田避溢橋には”□+子”印があり、型取材で採刻したものを木曽川橋梁のものと比較すると同笵印であることがわかる。


このことは取りも直さず木曽川橋梁の残存井筒が茶屋松暗渠と同じ頃作られたこと=開業時のオリジナル構造物であることを教えてくれる。木曽川橋梁の橋脚は濃尾地震後に水面下数尺まで取り壊して再築されたとされているが、その存置部分がこんにち水面上に露出しているわけである。

なお、よく似た印影のものが西尾市街で見つかっているが、こちらはカナではなく漢数字とみられる。西尾市街”□+二”と梶田避溢橋で採刻した”□+ニ”を比較すると後者のほうが明らかに二線間が狭い。

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