弘栄煉瓦

昭和6年に兵庫県印南郡阿弥陀村に創業し、社章として”ABC”を掲げていた(Amida Brick Companyの略?)が、実際にそれが押された煉瓦は見つかっていない。代わりに弘栄煉瓦岸工場(S16.12創業)の社宅にお住まいの方に「K」一文字の刻印は弘栄煉瓦の刻印だと教わった。活字印・釘印ともにそのようである。ただし類似の「Kn」刻印についてはご存知でなかった(証言をいただいた方は戦後に弘栄煉瓦で働いていたという方である。主に機械成形煉瓦の切り出したものを取り板に並べて乾燥場へ運ぶ仕事などをしておられたという)。

弘栄煉瓦では取り板に取った煉瓦をひっくり返して裏側を乾燥させる工程の際に、「K」刻印を作り付けた作業台を使用し、その上に半乾燥状態の煉瓦を落とすことで打刻していたとのこと。同様の打刻は播州煉瓦合同でも採用されていた節がある。煉瓦刻印が不鮮明であったり二度三度押したようになっていることがあるのもそうした落下型打刻によるものであるかも知れない。

弘栄煉瓦岸工場の社宅は現在も同じ場所に残されている。一部建屋が解体されているが煉瓦製の建物基礎、共同風呂?等に煉瓦が使用されている他、社宅敷地内に”K”刻印煉瓦の転石を多数見ることができる。


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