”太井桁”刻印(吉野煉瓦?)
奈良県吉野郡大淀町を中心に吉野郡下に分布。井桁の刻印は貝塚煉瓦や岩橋煉瓦を連想させるが、ここで見られるものは中央空白部よりも銭のほうが太く、また正体ではなく菱に配置したものである。上記二工場の近傍ではそのようなバリエーションは見ない。
大淀町には大正9年から昭和3年ころにかけて吉野煉瓦という会社が存在した。同社の用いた刻印である可能性を考えたい(工場主吉井清蔵の「井」?)。なお大淀町桜ヶ丘小学校の敷地から発掘された旧小学校の外壁にはこの刻印が用いられている(奈良県大淀町文化財調査報告書第5集『大淀桜ヶ丘遺跡』)。