加太トンネル建設用煉瓦工場

関西鉄道が本線最高所のトンネル・加太トンネルを建設するにあたり、工事現場に程近い字一ツ家に専用の煉瓦工場を設け、そこで使用煉瓦を製造した。この工場では扇形に「四番」「三〇」等の文字を内包する刻印を使用している。工場所在地近傍や工事現場付近に残る煙突、大和街道架道橋等にこの刻印が検出される。また大字小林の大和街道に面した民家では、工場跡地に残されていた不良煉瓦を譲り受けて築いたという壁があり、ここにも扇型刻印を多数確認することができる。

加太トンネル自体は接近困難なため確認ができていない。トンネルより東の構造物では扇型刻印よりも大型のカナ刻印が目立つ。これは三重県桑名市・鈴鹿市にあった勢陽組かその後継工場である水谷工場の供給した煉瓦と推測される。加太トンネル建設に専用工場が採用されたのは現場が僻地で煉瓦搬入に困難を来したからだが、そこが他の構造物の煉瓦まで広く手がけたわけではないのだろう(貴生川駅付近から西は漢数字刻印煉瓦の採用が見られる。大阪府旭商社の刻印と推測しているもので、草津側から持ち込まれたものだろう)。


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