揖保川橋梁 ”□+化” は尺寸がよくフィットする(7.5 × 3.6 × 2.3寸)。旭商社 ”二七” は 8-3/4 × 4-1/4 × 2-3/4 ins.。ただし市川橋梁の ”□+造” はインチ、 ”□+製”は長7.2寸まで焼き縮んでいるので、必ずしも製造者で違うわけではないだろう。 いずれにしても山陽形の元設計はインチ系で、目地厚1/4インチ=約 6 mm とし、目地込み4段= 1 ft となるよう考慮されているはず(揖保川橋梁の橋脚筐体は煉瓦4段に隅石1段を充てている)。それを尺寸に読んだ時には7.5×3.6寸になるのだろうが、その通りに作ってしまうとかえって縦目地と横目地が異なるものになってしまう(7.5寸=9inch)。
目地厚6mmはややきつい設計だが、焼き縮む方向に許容してあるので問題なく詰めているものと思われる。橋脚筐体で計測した20個平均値は220.23 x 107.13 x 69.71 mm → 7-2-5 x 3-5-5 x 2-3-0寸となり、かえって長手小口を小さく見積もっているようだ。先述単測は長手は平中央で、小口は小口中央で計測。いずれの煉瓦も平・小口がブラウン管画面状に不等に焼縮しており、長手で長手長を測ればかなり小さく見積もることになる。
揖保川橋梁P11、12を対象に行なった計測では長手の対厚比3.18となった。これはインチ体系で計算した対厚比3.182に非常によく一致する。尺寸体系で対厚比を算出すると3.261となり乖離が大きくなる(大高表の7.5×3.55×2.3寸を採用した場合)。小口の対厚比はインチ体系1.545、尺寸体系1.544でほぼ変わらない(計測値は1.53)。インチ体系の設計を尺寸に読み直すことをせず、直接インチ体系で製造していたことを示す結果ではないだろうか。