成金社(成金商社)
明治20 年(1887)9月、いまの神明町西3丁・西2丁に設立。設立記事が朝日新聞M20.9.4.2面にある。
●煉化石製造 堺区近傍の土質は煉化石を製するに適し且海岸に接して運搬の便あるに付き既に十余ヶ所の製造場あるが今度兵庫県下菟原郡大石村武内栄七外八名の創業にて成金商社(せいきんしょうしゃ)という煉化石製造場を同区神明町西二丁に開き一昨日開業式をなしたる由
社長は若井源左衛門。大阪日報M20.9.29.4面に同社広告があり社章が掲げられている。明治21年前半期には1ヶ月あたり30万個の製造実績がある(朝日新聞大阪版明治21年5月2日朝刊4ページ)。同年9月には若井氏の個人経営に(若井煉瓦工場)。
神戸市外国人居留地に残る煉瓦壁(14番館・15番館境界壁)に同社の刻印煉瓦が用いられており、現時点ではこれが唯一の検出例。同じ壁には「若井製造」や井桁若刻印煉瓦も使われており、成金商社→若井煉瓦の以降の端境期、すなわち明治21年9月前後に建設されたものと推測される。