形状指示 太英字
東海道線沿線で見られる異形煉瓦形状指示印のなかから使用工場不明の太い書体の英字印を抽出した。「太い」の基準はM34上淀川橋梁橋脚瓦礫(柴島干潟転石)を念頭に置いている。即ち同所検出の”A”、”B”、”C”のシェイプに近いもの。あるいは奥田煉瓦の細英字形状指示印以外の英字形状指示印というべきか。すべて同じ工場の製品かどうかは不明で、製造者の目処もついていないため、見通しを良くするためにこのカテゴリに入れておく。
柴島干潟では岐阜県奥田煉瓦の製品とみられる異形煉瓦が多く見つかっているが、それと同程度にこの系の形状指示印異形煉瓦が転じている。このうち”C”は上神崎川橋梁から出胎したものとみられる転石に類似のものあり。また湖東線沿線では類似の”E”がいくつかあり、全く同じシェイプではないが製造者不明の太字英字が東海道線沿線に広範囲に分布している。石部トンネル埋め草の”E”も、掲載したもの以外に複数のシェイプがあったように記憶する。石部には岸和田煉瓦の”E”も存在するがserif書体の”E”であり、それと太英字”E”の煉瓦とは焼き色が異なるようである。
西尾市街で検出した”A”、および碧南市久沓町で見た“C”もこの系統であるかも知れないが、前者は西尾士族工場の添印とみられる漢数字が添えられ、後者も西尾の□識別印らしい凹みがあり、同工場の後期の形状指示印とみられるため除外した。この”A”はそれぞれの辺を独立の部材で構成したような造り、”C”は上淀川・上神崎川のCよりもさらに丸みがある。印のサイズ感はほぼ同じである。(→西尾士族工場 英字識別印)