M31/大阪窯業機械成形煉瓦の宣伝文(『大阪窯業株式会社五十年史』pp.69-70)

謹啓時下益々御清勝被成御座奉賀候然者当社製造煉瓦之儀に付而は毎々御愛顧を辱し難有奉謝候然るに従来の製造は職工手製の姑息法に付製作上常に注意督励を加うと雖奈何せん多数の職工中自から巧拙ありて動おすれば原料の捏造不充分にして或は塊片の混入するあり又形状不整にして寸法正確ならざる等種々の欠点を生じ加之職工の出入常に不定にして一定の個数を製出する能わず為めに折角の御愛求に背き御注文に応じ兼候場合往々有之遺憾に不堪次第に付曩に独逸国へ最新式器械の注文を為し既に到達候に付直ちに据付万般の準備過般落成に依り目下製造焼出中に御座候 最早従是一定多数の製造を為し得べく就ては御愛顧に背き候様の儀有之間敷奉存候に付倍旧御注文之程偏奉願上候尤も器械製品成績の如きは別紙広告の通に有之候間御一覧被下度右披露旁得貴意度如此御座候  敬具
 明治三十一年十二月 日 大阪窯業株式会社

(器械製造煉瓦広告)

製造機械の事
当社堺市分工場に今般設置せし煉瓦製造器械は悉皆独逸国の最新式にして五拾馬力の蒸気機関を用い特に一種の煉土器を設置し精選の原料を一旦混和捏造して煉瓦型内に入れ更に捏造圧出の際煉瓦の四面に水を浸出し側面は平滑にして恰も手製煉瓦の磨き品に等しき光沢を顕わし上下の両面は特に粗鬆にして以て「モルタル」の附着力を強固にする等此器械特得の長所にして姑息なる手製品の遠く及ばざる装置なり一日の製出四万個以上とす如斯完全なる器械を使用するは本邦に於て当社を以て嚆矢とする所なり

焼窯の事
当社の焼窯は「ホフマン」式輪換窯にして更に熱度の均一を得せしむると余熱を利用して素地を乾燥せしむる為め或る局部に於て改良を加え築造せし所にして此窯を以て焼上げたる製品は焼度均一にして色沢の美麗なる他に比を見ざる処たり該窯は目下専売特許出願中にて如斯構造の焼窯を有するもの亦本邦内当社を措て未だ他にあらざる処なり

改良ホフマン窯の特許はM32.4.4/大高庄右衛門 改良ホフマン窯特許参照。この特許は大高が三石耐火煉瓦に勤務していた時(M29だったか?)に申請したもので、M32.4.4に特許が認められた。上記の堺工場の窯はM29.10に初火入れ。

https://bdb.kyudou.org/?p=8975

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