朝日新聞東京版 M29.4.15 6面/明治29年大阪府下煉瓦製造業

●大阪の煉瓦製造額  近年鉄道、船渠、築港、家屋其他種々の土木事業続起し随いて煉瓦の需要日一日増加するより大阪府下の煉瓦工場の如き孰れも非常の繁忙を極め現在組合を組織し居る工場のみにても昨二十九年中の製造高及価格を挙ぐれば

工場

個数

価格

堺煉瓦会社

651万個

1万6155円

岸和田煉瓦会社

1003万3470個

5万6266円50銭7厘

貝塚煉瓦会社

481万3260個

4万1201円51銭

大阪窯業会社

255万4781個

1万7101円79銭

三栄組煉瓦製造所

220万個

2万1500円

若井煉瓦製造所

262万9500個

1万8177円57銭

旭煉瓦会社

199万80個

1万9900円90銭

附洲煉瓦製造所

191万9400個

1万7114円10銭

日本煉瓦会社

114万7655個

1万3198円3銭

丹治煉瓦製造所

167万8900個

1万2788円52銭

東洋煉瓦製造所

96万個

7680円

湊煉瓦白地合資会社

20万個

900円

大阪土木会社煉瓦製造所

129万2381個

2万248円60銭

石井煉瓦製造所

62万個

4216円

福島煉瓦製造所

46万5000個

3552円50銭

子師煉瓦製造所

74万2147個

6451円86銭

大津煉瓦製造所

5万個

500円

3980万6586個

31万7177円89銭

にして此他組合に加入せざる工場は八十以上に及び白地製造工場も会社と一個人とを合すれば殆んど百に垂んとする大数に上り実際同府下にて製出する煉瓦の数額は誠に夥しきものなり而して需要は益々加わり供給は愈々不足を告ぐるより追々粗製濫造の弊を生じ将来建築上に危険を来さん虞もあり且は右の如く数多の工場続々起るより自然職工争奪の紛糾を起すこと尠なからず未だ紡績職工の如く甚しきには至らざれども早晩一大紛議を醸さんも測る可らざる状況あり因りて前記の十七工場協議の末急に組合の規約を改正して有らゆる同府下の同業を加入せしめ粗製乱造及び職工争奪の二弊を除去せんとて目下考案中なりと云う

原文漢数字を数字に改めた。

https://bdb.kyudou.org/?p=8827

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