明治十年内国勧業博覧会出品解説

煉化石 造幣局

京都府下山城国相樂郡童仙房の土及び大阪府下摂津国東成郡天王寺野代田の土を採り鍬を以て打返し足を以て踏み捏して木型に按填し乾かし窯に入れ七昼夜焼成す

煉化石 芝口一丁目 林七兵衛

寛政元年より瓦焼を開業せしに明治八年鉄道修繕科御用中御届仏国人某より煉化石製造法を伝習し今此業を専らとす

製法 府下隅田川近村より出る荒木田の土を採り乾かし碎きて末となし銅線籮を以て淘し水を注ぎ鍬を以て練り筵を以て覆い置くこと四五日仏国の土を石臼に入れ鉄頭の杵にて舂き碎き末となし銅線籮を淘し前に練たる荒木田の土に之を百分ノ一加え又水を注ぎ鍬を以て練ること四五日捏して板上に載せ手を以て按し銅線を以て切り大略尺寸を予定し木套(ワク)に入れ按じ脱して板状に列し乾かし窯に入るる凡そ三千枚松片を入れ焼くこと二昼夜にして窯口を塞ぎ泥封し煙を籠めて焼く者は黒色煉化石煙を放ち焼く者は赤色煉化石なり

煉化石 [神奈川県三浦郡]長浦村 鈴木門四郎

製法 本人所有地の土を採り水を灌ぎ鍬を以て撹捏し木型に按填し型を脱し陽乾し窯に入るること二千三百枚松片を以てやくこと十八時間窯口を塞ぎ泥封し十二時間を経て窯を啓く

煉化石等 県庁[大阪府庁]

製法 田園あるいは池底の土を採り筵を覆い熟さしむること一夜鍬を以て練り砂を調和し足を以て踏み捏して型に填し板を以て四面を按じ型を脱□能く摩擦し滑ならしめ乾かし窯に入る石に赤色を発せしむるは窯火中に塩小許を投じ焼成す

品類 煉化石瓶鉢皿鍋擂鉢渠(ミゾ)瓦風炉湯婆(ユタンポ)酒■火閤(コタツ)玩弄陶像

p.35

煉化石 [三重県]県庁

製法 伊勢国朝明郡大矢知村近傍の山より出る青色砂土を採り乾かし末となし水を注ぎ練り模型に按填し型を脱脂乾かすこと一昼夜四面を板を以て打固め形状を平直ならしめ而して乾かし窯中に積み累ね窯門を塞ぎ泥封し窯窓より松片を投じ漸次に火力を増加せしめ一昼夜を経て窯中の火色雪白にして少しも暗色無きを認て窯窓を塞ぎ泥封し冷るを待て窯を出す

p.42

白煉化石 [静岡県]県庁

明治六年開場し水碓機械を設け窯を築く皆旧製作寮より建設する所なれども今は工作局の所轄たり

製法 伊豆国賀茂郡梨本村を距る二里天城山中小川に産する石を採り水碓を以て舂碎き万斛籮(マンゴクトヲシ)に過し水槽に入れ撹捏し木型に填実し鏝を以て按じ脱し板状に排列し陽乾すること一日再び銅型に填し螺旋機械を以て圧搾(ヲシシメ)し陰乾すること一二日陽乾すること三四日窯に排列し椴[もみ]片を以て焼くこと七昼夜冷るを待て窯を出す

工名 伊豆国賀茂郡梨本村 稲葉常松 板垣弥平 稲葉五右衛門

p.61

煉化石 信夫郡上飯坂村 石田佐吉

製法 同村字赤館より出る土を採り乾かし水を注ぎ翌日足を以て踏み又鍬を以て捏し粘土を一部調和し厚さ一尺方六尺に積み縦八寸幅四寸厚さ二寸の木型に填し箆を以て敲き刀を以て四辺を切り陽かわかし復た箆を以て摩し滑かにし窯に入松片を以て焼くこと十二時間火を止め窯口を塞ぎ泥封し又十二時間を経て窯を出す

p.61

煉化石 岩手県陸中国稗貫郡台村 小瀬川清志

製法 同国岩手郡台村饅頭山より出る白石を採り砂を去り槌碎き水碓を以て舂き末となし型に入れ脱し乾かし打堅め陽乾し窯に入れ一昼夜焼成す

p.77

煉化石 長門国豊浦郡神田下村 井上百介
製法 同村字大師山の土を採り槽に入れ水を注ぎ踏捏し挺となし寸尺を定め銅線を以て切り陰乾し石末を捺し木型に入れ型を脱し鉄箆を以て摩し滑かならしめ板上に列し陽乾し窯に入れ火力を弱くし松片を以て焼くこと十二時間後ち火力を強くし焼くこと復た十二時間火を止め窯口を塞ぎ泥封し十二時間を経て窯を啓く

p.79

瓦各種 伊予国野間郡浜村 大津四郎八外二名

製法 同国越智郡大三島風早郡小川村本郡波方村の土を採り練り捏じ型にて以て形を造雲母末を塗抹し陽乾し窯に入れ松葉松片を以て焼成す

品類 平瓦、円瓦、袖瓦、鬼瓦、巴瓦、唐草瓦、風切瓦、雁振瓦、水通瓦、竈、火炉、水板瓦、鳥襖瓦、黒煉化石

p.95以降の表から煉瓦関係を抽出

物名

府県名

製額

価格

開業年暦

工名地名

出品人名

(掲載ページ)

煉化石

明治6年2月

造幣局

p.84

煉化石等

東京府

150

亨保9年

本所瓦町

小林吉兵衛

p.95

煉化石等

東京府

1,000,000

150,000

小林七兵衛

p.95

煉化石等

東京府

16,500
(売額18,500)

文政年間

加藤繁吉等

島田総兵衛

p.95

煉化石

東京府

300,000

18,000

明治8年

武蔵国足立郡宮城村
下川春次郎

下川馬次郎

p.95

煉化石

東京府

1,400,000

8,400

明治5年

小台村

小泉弥吉

p.95

煉化石

東京府

720,000

4,320

明治5年

鹿浜村

小宮長次郎

p.95

煉化石

東京府

明治6年

葛飾郡上篠崎村

松原善左衛門

p.95

煉化石

東京府

100,000

700

明治5年

柏原要蔵

島村武兵衛

p.95

煉化石等

東京府

50,800

4,111

安政元年

葛飾郡金町村

細谷伊助

p.95

白煉化石等

東京府

340,000

10,020

明治7年

足立郡千住駅

小川利右衛門

p.95

煉化石

神奈川県

250,000

112.50

明治4年

長浦村

鈴木門四郎

p.97

煉化石等

兵庫県

明治6年

県庁

p.97

煉化石

三重県

50,117

250.60

明治6年

懲役夫

県庁

p.103

煉化石

静岡県

96,000個

4,490

伊豆国賀茂郡梨本村

稲葉米蔵

p.103

煉化石

福島県

30,000

300

明治8年

岩代国信夫郡飯坂村

石田佐吉

p.107

煉化石

山口県

50,000

700

明治3年

(長門郡豊浦村神田下村)

井上百介

p.122

黒煉化石

愛媛県

2,820,000

12,300

(伊予国野間郡浜村)

大津四郎八等

p.123

https://bdb.kyudou.org/?p=8730

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