八王子医療刑務所跡地の発掘調査報告書より。該煉瓦は石川島監獄製を示す”石監”印が捺された煉瓦で、明治11年八王子監獄署の設立に際して持ち込まれたものと考えられている。元データは各辺につき最大値・最小値を計測し、その平均値を掲出(各個計測)。長手と厚、小口と厚の相関係数はかなり小さいが、それはかえって型抜き後の叩き成形が行なわれていたことを示すかも知れない。そのような相関性ながら対厚比の平均値を出すと監獄則の素地煉瓦の比率によく一致するのが興味深い。製品の三辺比率が素地の比率=規格の比率を保存していて、焼成時にも三辺が等方的に焼き締まることがわかる。
なお出土した”石監”刻印煉瓦の中には平に小口・長手を重ねた焼き跡が残るものがあり、窯内における積み方が関西とは異なっていたことがわかる(中京と同じ)。この積み方の違いが焼き締まりの等方性と関係があるか否か。