新道野在所を通過する旧道が現国道に合流する辺りから山に入り、向かって右手の尾根筋を比高50mほど登ったところ。なだらかな尾根筋を段々に平げた杉植林地のような地形があり、その棚に無数の焼損煉瓦が遺棄されている。
新道野では敦賀線建設に際して外国人技術者が新道野を訪れ、ここで煉瓦を焼いていたと伝承されている。粘土(赤土)が良質過ぎでうまく行かなかったとも。確かに付近は純度の高い赤土の斜面で、谷間には長石・石英類を多く含む山砂がみられる。これらを組み合わせて胎土を調製したものと推測される。
ちなみに振動野のあるお宅は、その工場で使用していた煉瓦型を貰い受けて押し寿司の木枠に使っていたそうである(新道野での聞き取り)。