東雲新聞明治22年5月9日、大阪毎日新聞M22.5.10 6面公告
(広告) 一 煉化石製造事業 右原料を差入れ在監人をして製造方委托望者は当監へ出頭規則熟覧の上来る十五日午前十時迄に投票すべし 但開札は同日正午 明治廿二年五月 大阪府堀川監獄
おそらく素地製造のみを受託するものと思われる。
大阪毎日新聞M22.5.21
●囚徒の入替 当府堺監獄に服役中なる囚徒百一名を昨日堀川監獄へ送り彼の囚徒と入れ替えありし由なるが右は工場の都合に依るとの事なり
鉄道寮が堺の函館会所跡で煉瓦を製造し始めた頃から囚人を使役していたことは堺市史第3編にもある。そんな経験者を堀川監獄に移動させたのだろう。
大阪毎日新聞 M22.12.1 2面)
●監獄の煉化工業 来る二十三年より当府監獄の囚徒をして煉化工業に従事せしめんが為め固監獄内へ煉化工場を設置せんとの議案に対し常置委員の意見にては既に之れを賛成せしが以来同会にては調査委員を選んで実際の利害を調査し一昨日来同会の議に附し居たる所昨日の同会に於て愈よ此の工業を起すことに決したり
5月の広告の素地製造がうまくいったので監獄内で焼いて出荷するということを始めることにしたのだと思われる。つまり小菅集治監と同じような監獄煉瓦製造をやり始めると。この当時監獄費は府県負担であったから、多少でも収入を得て出費を抑えようとしたのだろう。
大阪毎日新聞 M22.12.5 2面
●煉化工業受負の建議 来る廿三年度より当堀川なる府監獄内へ煉化工場を建設し囚徒をして其工業に従事せしむる事は目下開場中の当府会に於て既に議決せしが右工業の義は一昨日の同会にて六十八番(前川)よりの発議により専ら人民の注文に応じ凡て受負となすべき事を府知事へ建議するに決したり
続いてこのような記事も出ていた。これはちょっと建議の意図がつかみにくい。「人民の注文」に限る必要はなぜか。
しかしこの決議は翌年3月の臨時府会で廃案になっている。場内工場の操業を民間に請け負わせ(労働力は囚人)るということだったけれども請負人が出入りしなければならないのは保安上問題であるし私企業が私利私欲を追求し始めても困るし「更生案のごとくするも囚徒の全部を就役せしむる能わず尚空手徒食の輩を生ぜしむ」し計画なお不十分の恐れありという理由。同書の最初の方にある監獄建築の新改築の一覧に煉瓦工場はない。