左辺の割れの境目付近に縦に三破線。付近には焼損煉瓦や窯の一部を構成していたと思われる煉瓦の断片が散在しているが、刻印が見られたのはこの一つだけで、かつ焼損煉瓦ではない煉瓦である(黒く焦げた土と赤土が付着していて、窯に使用されていたものと想像される)。三室煉瓦の使用印とは考えにくいかも。
焼損煉瓦が厚56mm~58mmに対し、この煉瓦や焼損でない煉瓦断片は52~54mmと薄めの傾向。坏土はどちらも石英質の白い砂粒と黒い砂粒を含み、焼損でない破損煉瓦は斑が目立つ傾向にある。これは宇治駐屯地の給水塔に使われている煉瓦の坏土に似ている。
↑程度小の焼損煉瓦の断面。わずかに斑があるが筋状に引き伸ばされるほどにはなっていない。
↑程度中の焼損煉瓦の断面。還元焼成が進んで内部まで黒くなりつつある。
↑完全な焼損煉瓦の断面。こんなに真っ黒(黒鉄色)になるとは……。