
旭商社 形状指示 イロハ
山陽鉄道が建設した夢前川橋梁、千種川橋梁の井筒や井筒遺構に検出される形状指示印。旭商社の漢数字印を伴うものも多く、旭商社が使用していた形状指示印とみられる。
扇形〝イ〟は鉄道局M29規格の12ft/9ft Cに、撥形〝ロ〟は9ft Eに、扇形〝ハ〟は12ft Aに近似される寸法で、〝ハ〟を外周扇形に、〝イ〟を内周扇形に配するような配置であるようだ。ただ揖保川橋梁P7井筒や千種川橋梁P4井筒を見る限り、外周扇形異形にはA・Cが混用されているようであり、また千種川橋梁P4の〝ハ〟はAよりもむしろCに近い寸法であった(外側弦長約230mm)。
そもそもこれら山陽鉄道の円形井筒は設計径が不明である。揖保川橋梁P7の井筒は周長10.2m前後を測り、径10~11ftという計算になった。官設鉄道でも東海道線水無瀬川橋梁に〝ロ〟〝ハ〟の形状指示印が検出されていて、露出部で計測した弦長・弧長から直径を算出するとやはり10~11ftという結果になった(オリジナルは12ft円形井筒だが複線化の際に全面的に改築されている形跡がある)。この系の形状指示は、規格化されることのなかった径10ft井筒用のサブセットであるのかも知れない。