長手と厚、小口と厚をセットで計測。計測位置は基本的に各辺中央。計測場所は最上流側橋脚。
琵琶湖疏水工場では7.3 × 3.55 x 2 寸という標準型が採用されていたが(『京都都市計画第1篇)、南禅寺水路閣をはじめとする煉瓦構造物の対厚比は監獄則素地 8.3 x 4 x 2.1 寸の焼き締まったものが最も近いという結果になった(第二隧道呑口胸壁、インクラインねじりまんぽ、安朱川水路橋いずれも同様の結果)。同書に「少数ある」とされている厚1.8寸のものも近いが厚55mmを超える傾向が明確にある。表面計測なので煉瓦中心では測定値+数ミリの寸法である可能性が高く、そう考えると該煉瓦が厚2寸と見做されていた可能性も否定できない。
7.3 × 3.55 x 2 寸は 8-3/4 x 4-1/4 x 2-3/8 ins.を意図した規格体系とみられ、監獄則素地もそれを狙ったもの(あるいは厚 2-1/4 inch = 57.15 mm = 1.85 寸)だったと思われる。そもそも琵琶湖疏水工場は立ち上げ時に京都監獄の典獄が工場に派遣されていたり(歴彩館蔵公文書)、操業の末期に北工場の操業を京都監獄に完全委託したとする記録もあるので(『琵琶湖疏水要誌巻末年表)、疏水工場の規格自体が監獄則由来だという可能性もなきにしもあらず。