赤坂川橋梁下川底から採取。正体井桁に”シー”の添印。形状は後年の9ft井筒”E”に一致し、厚さも正確に2-1/4インチで、これだけだと赤坂川橋梁複線化時のものということになるが、同所で”異形の撥形異形煉瓦”を採取しており初代井筒の出胎物である可能性が高い。正方形の井筒マークや細い書体の添字も東海道線時代の製品に見られるものである。
平に焼き型がついているのが興味深い。扇形異形煉瓦だと井桁に組むことはできなかったのでこのように積んで焼くしかなかっただろう。この焼型の重なった部分が常滑焼陶器のような色合いに発色しているのも注意を引く。同様の発色をした煉瓦は湖東線エリアや関ヶ原前後の煉瓦暗渠でも見られるが京阪神の煉瓦にはあまり見られないものである(強いて言えば豊岡の中江煉瓦の製品がこのような発色をしているが)。