恐らく水無瀬川橋梁井筒と同様の形状指示。漢数字添字”三三”は旭商社のものとみられる。現場では”イ”・”ロ”しか見つけられなかったが、他に”ハ”もあったに違いない(姫路駅転車台遺構から扇形異形に”ハ”を打刻したものが見つかっている〔『豆腐町遺跡Ⅱ』B47。図版24参照。寸法は 245/210 x 121 x 68 mm〕)。
直近に採用されていた井筒構造のデファクトスタンダードは東海道線の”エー”・”ビー”・”シー”系だったが、それではなく京都大阪間西部の”イ”・”ロ”・”ハ”系が採用されているのは興味深い(逆かも知れない。山陽鉄道〔旭商社〕が採用したイロハ系を官設鉄道が逆輸入した形か)。
周辺で検出した完全形煉瓦の採寸値(8個平均)は226.6 x 110.6 / 87.54 x 69.24 mm(8-7/8 x 4-3/8 / 3-1/2 x 2-3/4 ins.)で、後年の鉄道作業局規格(M29規格)の 12ft ”B” に比べて手元側小口が 10 mm 強細く、長手が 3 mm 短い。撥先小口幅は水無瀬川橋梁の井筒で計測したものと一致、厚さは山陽形に倣って 2-3/4 inch を採用している(水無瀬川橋梁は 3 inch)。